アルバムの写真が、動き出すまで
押し入れにしまったままのアルバム。台紙に貼りついた白黒写真が、そのまま映像になります。
実際に4枚の古い写真から、1分15秒の映像を1本作りました。撮影は一切していません。
まずはご覧ください。
まずはクリックして再生してみてください
画面クリックで再生します。1分15秒。音が出ます。声も物音もBGMも、すべてAIが付けたものです。
映像の中の場面






いずれも1枚の古い写真から作られたものです。カメラの寄りも、光の変化も、指先の動きも、撮影していません。
もとになったのは、この4枚です
いずれもパブリックドメインの写真です。撮られた場所も年代もばらばらで、互いに何の関係もありません。
このページに出てくるアルバムに貼ってあるのも、この4枚です。




この4枚を「同じ町の、同じ一日」として並べました。朝の田んぼ、昼の停留所、夕方のギター教室、夜の格子戸。 ばらばらの4枚が、ひとつの町の一日になります。
手順1 アルバムから取り込む
古いアルバムの多くは、台紙にフィルムを重ねて貼る粘着式です。 剥がそうとすると角が欠けたり、表面が台紙に持っていかれたりします。触らずに済むなら、そのほうが安全です。
『カメラでなんでもスキャン Pro 2』なら、剥がさなくて構いません。 ページを開いて、上から1枚撮るだけです。
専用の機械は要りません。お手持ちのスマートフォンかデジタルカメラで撮った画像を使います。
手順2 白黒に、色をつける
白黒のままだと、着ていたものの色も、その日が何月だったのかも分かりません。
『AVCLabs PhotoPro AI』は、白黒の写真を自動で色付けします。 肌、髪、衣服、草木、空、建物。それぞれを見分けて、それらしい色を置きます。




色は自動で置かれたもので、当時の実際の色とは限りません。気になるところは部分ごとに直せます。
手順3 その写真を、動かす
『RecCloud』の長編動画エージェントで、ここまでの写真を1本の映像にします。 ブラウザで動くので、高い機械は要りません。
手順は7つです。こちらが書いたのは、最初の原稿だけです。
1写真を「アセット」として登録する
ここが肝でした。登場人物や場所に名前を付けて、写真ごと登録しておきます。 こうしておくと、場面が変わっても同じ人・同じ場所が出てきます。

ここで名前を決めておくこと。あとの工程で、この名前をそのまま呼び出します。 登録したのは4つ——@格子戸の娘、@停留所の男、@秋の田んぼ、@昭和のギター教室です。
2作りたい映像を書く
ショットごとに、いつ・どこで・誰が・何をするか。数行ずつで構いません。 登録した名前は @ を付けて呼び出します。

使う素材を先に宣言しておくと、余計なものが増えません。 最初はこれを書かずに投げたところ、勝手に11個の素材を作ろうとしました。 書き足したら7個に収まり、そのうち4個が登録済みの写真になりました。
3設定を確かめる
画風・1シーンの長さ・全体の尺・画面比が示されます。違えばここで直します。

4素材リストと絵コンテができる
必要な登場人物・場所・小道具が洗い出され、同時にショット単位の脚本が組まれます。 カメラの動き、環境音、セリフの語り口まで書かれます。

5登録した写真と照合する
ここを押さないと、登録した写真は使われません。 「アセットライブラリを使用」を押すと、素材名と登録名が突き合わされます。

名前が1文字でも違うと照合されません。 最初は脚本の側で「@停留所の男」が「@停留所の男性」に書き換えられていて、つながりませんでした。 原稿に「名前を変えないこと」と書いたら直りました。
6素材と、ショットごとの映像ができる


同じ人が、場面をまたいで出てきます
長い映像でいちばん崩れるのが、「前のカットと顔が違う」です。 RecCloudは、登場人物をアセットとして先に登録しておくことで、ここを抑えます。
最後の場面では、この二人が同じ画面に並びます。 別々の写真から作られた二人が、ひとつのカットの中で向かい合う。ここが今回いちばん難しいところでした。
71本に合成する
すべてのカットがつながり、セリフ・環境音・音楽を含んだ1本になります。あとはダウンロードするだけです。
うまくいかなかったこと
一度で通ったわけではありません。つまずいたところを、そのまま載せます。 同じところでつまずく方が多いはずだからです。
障子から手が出てしまった
最後の場面で、娘さんの腕が障子を突き抜けて見えていました。 脚本を読むと「室内からの中景で捉える」とあり、カメラが戸の向こう側に回っていたのが原因でした。
こう書き足して、その場面だけ作り直したら直りました。 位置の破綻は、カメラがどちら側にあるかを毎回言い切るのが効きます。
「写真には写らなかった」が読めなかった
ナレーションの読み上げが、この一文でつまずきました。 同じ漢字が近くで2回出てくると、読みを取り違えるようです。
ひらがなに開いたら一度で通りました。 読みが2通りある語(今日・一日・人・方など)は、はじめからひらがなで書くほうが早いです。 読点は消さないでください。息継ぎと意味の切れ目を作っているので、消すと棒読みになります。
夜の場面が、真っ暗になりがち
電球を消す場面で、娘さんが黒いシルエットになってしまいました。 せっかく色をつけた顔が見えないと、話が台無しになります。
看板の文字が、別の駅名に変わっていた
元の写真の看板には「本町線」とあります。松山市内を走る路面電車の系統名です。 ところが最初に作った映像では、「長崎駅前」という別の駅名に変わっていました。 指示のどこにも駅名は書いていません。
AIが「昭和の停留所らしい看板」を描き直したわけです。 文字を読み取って残しているのではなく、それらしい絵として作り直している。ここは覚えておいてください。
原稿にこの一行を足したら、そのとおりの看板になりました。
顔は、元の写真と多少変わることがあります。 とくに人物がしゃべる場面では、口を動かすぶんAIが顔を描き直す余地が増えます。 短いセリフにとどめると崩れにくくなります。
大切な方の写真では、必ず仕上がりをご確認のうえお使いください。 ご家族にお見せする前に、一度ご自身で通してご覧になることをおすすめします。
そのまま使える原稿
実際に使ったものを、全文そのまま載せます。ご自身の写真に合わせて、名前と場面を差し替えてお使いください。
アセットに登録した4つ
「AI動画生成」画面の右上「アセットライブラリ」→ 左上の「+作成」で登録します。 入れるのは画像・名称・タイプ・音声の特徴・プロンプトの説明です。
20代前半の日本人女性。落ち着いた、やや低めの声。 ゆっくりとした話し方。昭和の映画のように抑えた口調。方言なし。
昭和40年代の日本人女性、20代前半。黒髪のショートヘアでゆるくウェーブ、耳が見える。 細い眉、やや垂れた目、小さめの唇、少しはにかんだ表情。 濃紺と白のチェック柄の長袖シャツ、白いスカート。木の格子戸に片手をかけて立つ。 退色したカラーフィルムの質感、粒子感、自然光、彩度は控えめ。 顔立ち・髪型・服装は参照画像から変えないこと。現代的なメイクや服装にしない。 手足の破綻を避ける。商業ロゴやウォーターマークを入れない。
60代の日本人男性。かすれた低い声。言葉数が少なく、ぽつりと話す。 ぶっきらぼうだが人の良さがにじむ。方言なし。
昭和40年代の日本人男性、60代。白髪まじりの短髪に白い手ぬぐいの帽子。 日焼けした顔、細い目、寡黙な表情。紺の作務衣風の上下、下駄。 右手に金色のブリキのバケツを提げている。 退色したカラーフィルムの質感、粒子感、自然光、彩度は控えめ。 顔立ち・髪型・服装は参照画像から変えないこと。現代的な服装にしない。 手足の破綻を避ける。商業ロゴやウォーターマークを入れない。
昭和40年代の日本、公民館の一室。若い男性たちが椅子に並んで座り、 クラシックギターを構えている。金属の譜面台が並ぶ。窓から西日が差し込む。 床は板張り、壁は白い漆喰。退色したカラーフィルムの質感、粒子感、自然光。 現代的な機材や照明器具を入れない。商業ロゴやウォーターマークを入れない。
昭和40年代の日本、刈り入れの終わった田んぼ。稲藁を立てて干した束が点在する。 奥に赤い小型の農機。土は乾いて筋が入っている。秋の低い日差し。 退色したカラーフィルムの質感、粒子感、自然光、彩度は控えめ。 現代的な建物や車を入れない。商業ロゴやウォーターマークを入れない。
キャラクターは、背景を抜いた画像のほうが安定します。
背景が写り込んでいると、別の場面でもその背景が付いてくることがあります。
『AVCLabs PhotoPro AI』の切り抜きで、人物だけ白背景に抜いた版を登録するのが確実です。
シーンは背景そのものが主役なので、写真のままで構いません。
作例に使った4枚(白黒・ダウンロードできます)
上の原稿をそのまま試していただけるよう、もとの白黒写真4枚を置いておきます。 いずれもパブリックドメインとして公開されている昭和期の写真です。 ご自身のアルバムの写真に入れ替える前の、練習用にお使いください。
画像をクリックすると保存できます。色をつけるところから試す場合は、この白黒のままお使いください。
本編の原稿(1分15秒・5シーン)
「長編動画エージェント」の入力欄に、これをそのまま貼りました。 セリフとナレーションは { } で囲みます。
昭和40年ごろ、日本の小さな町の一日。題名は「その日の音」。
5シーン×15秒、合計1分15秒。時刻が朝→昼→夕→夜と進む。
ナレーションは、50代の日本人女性の、静かで温かい声。
セリフは短く、ささやくような音量で。音楽は控えめなギターの独奏のみ。
【使う素材】次の名前のものだけを使う。名前を変えないこと。
登録済み:@秋の田んぼ @停留所の男 @昭和のギター教室 @格子戸の娘
@昭和の停留所 @ブリキのバケツ @クラシックギター
これ以外の登場人物・場所・小道具を、新しく作らないこと。
【全体の調子】
1シーンは1つの場所、1つの出来事だけ。カットを細かく割らない。
説明のための場面を足さない。何も起きない時間を残す。
カメラはゆっくり、動いても寄るか引くかだけ。
シーン1(朝)
前半:@秋の田んぼ。朝もやの中、刈り入れの終わった田に藁束が並んでいる。
遠くに里山と木の電柱。
ナレーション{この町には、きせつの音が ありました。}
後半:同じ田んぼで、女たちが腰をかがめて藁を束ねている。手元の寄り。
〈ざっ、ざっと藁がこすれる音、遠くの小鳥〉
シーン2(昼)
前半:@昭和の停留所。路面電車が停まり、@停留所の男 が
@ブリキのバケツ を提げて降りてくる。停留所の看板には「道後」とある。
空を見上げて一言。
@停留所の男 のセリフ{……いい天気だ。}
〈踏切の警報音、電車が走り出す音〉
後半:@秋の田んぼ のあぜ道を歩いていく後ろ姿。
ナレーション{その人が まいにち どこへ行くのか、だれも しりませんでした。}
〈じゃりっと砂利を踏む靴音、バケツの取っ手が鳴る音〉
シーン3(夕)
前半:@昭和のギター教室。窓から西日が差す。若者たちが @クラシックギター を
膝に構えて弦を合わせている。
ナレーション{夕方になると、公民館から音が 聞こえてきます。}
後半:一人の青年の指先への寄り。ぽろん、と一音だけ鳴る。
窓の外には町の瓦屋根。〈澄んだ弦の音と、その余韻〉
シーン4(夜)
前半:@格子戸の娘 が格子戸を半分開けて、暗い通りを見ている。
遠くから、かすかにギターの音が流れてくる。耳を澄ませて、ひとりごとのように。
@格子戸の娘 のセリフ{……きょうも、聞こえる。}
〈秋の夜風、虫の声、遠くのギター〉
後半:娘が目を閉じて、しばらく音を聴いている。何も起きない。
〈ギターの音だけが続く〉
シーン5(夜)
前半:娘が戸を閉めようと手をかけたとき、外から声がする。
@停留所の男 のセリフ{ただいま。}
娘が顔を上げる。
後半:戸口に @停留所の男 が立っている。@ブリキのバケツ を、黙って掲げてみせる。
中で魚が跳ねる。娘が笑って、バケツを受け取る。
ナレーション{しゃしんには うつらなかった、そのひの音です。}
〈ブリキが鳴る音、魚が跳ねる音〉
【守ること】
@格子戸の娘 の顔立ち・髪型・濃紺と白のチェック柄シャツは参照画像から変えない。
着物にしないこと。
@停留所の男 の顔立ち・白い手ぬぐい・作業着は参照画像から変えない。
この二人は全シーンを通して同じ顔・同じ服装であること。別人にしない。
停留所の看板の文字は「道後」とする。ほかの地名を勝手に作らない。
夜のシーンで人物をシルエットにしない。顔が見えていること。
セリフは短く、口の動きは控えめに。大げさな表情や身振りを付けない。
視覚スタイル:1960年代の日本、退色したカラーフィルム、粒子感、自然光、
落ち着いた彩度。派手なカメラワークを入れない。
字幕なし、ロゴなし、ウォーターマークなし。人物の重複を禁止。
ナレーションは、落ちることがあります。 同じ書き方でも入る回と入らない回がありました。 絵コンテ脚本の段階で「ナレーターは〜と語る」と書かれているかを必ず確かめてください。 書かれていなければ、そのシーンの脚本に直接足して、そこだけ作り直すのが確実です。
直した場面(夜のシーンの差し替え)
障子から手が出てしまった場面です。プレビューの鉛筆からこの文に書き換えて、その場面だけ作り直しました。全部を作り直す必要はありません。
ショット1:夜の民家の玄関内側。カメラは @格子戸の娘 と同じ側(屋内)に置く。
濃紺と白のチェック柄のシャツを着た娘が、木の格子戸を半分開けて、
外の暗い通りを見ている。カメラは娘の斜め後ろ半身の高さから、
娘の横顔と、開いた戸の向こうの夜が同時に見える位置。
頭上の裸電球が灯り、娘の顔を温かく照らしている。
〈格子戸が滑らかに開く微かな木音、秋の夜風、虫の声、かすかに届くギターの旋律〉
ショット2:@格子戸の娘 の横顔のクローズアップ。耳を澄ませ、ゆっくり瞬きをして、
澄んだ控えめな囁き声で{……きょうも、聞こえる。}と呟く。
〈静かな囁き声〉
ショット3:カメラは動かさず、娘の上半身を斜め前からとらえたまま。
娘が右手を上げ、頭上から下がった紐を静かに引く。かちっと鳴って電球が消える。
消えた瞬間、格子の隙間から青白い月明かりが差し込み、
娘の顔と肩を静かに浮かび上がらせる。娘は暗闇に消えず、
その顔のまま余韻を残して終わる。
ナレーターが50代の日本人女性の静かで温かい声で
{しゃしんには うつらなかった、そのひの音です。}と語る。
〈かちっと鳴るスイッチの乾いた音〉
【この場面で必ず守ること】
・カメラは最初から最後まで @格子戸の娘 と同じ側(屋内)に置く。
格子戸や障子を挟んで反対側から撮らない。
・娘の手や体が、戸や障子を突き抜けて見えないこと。
・娘をシルエットにしない。逆光で真っ黒にしない。顔が見えていること。
・電球が消えたあとも、月明かりで顔が見えている状態で終わる。真っ暗にしない。
・@格子戸の娘 の顔立ち・髪型・チェック柄のシャツは参照画像から変えない。
視覚スタイル:1960年代日本・退色フィルム風。高精細、自然光、落ち着いた彩度。
派手なカメラワークを入れない。字幕なし、ロゴなし、ウォーターマークなし。
書き方のコツは3つだけです。
1 使う素材を先に宣言する。「次の名前のものだけを使う。名前を変えないこと」
2 変えてほしくないものを名指しする。「顔立ち・髪型・服装は参照画像から変えない」
3 読みが割れる言葉はひらがなで書く。今日→きょう、その日→そのひ
やってみて分かったこと
写真は、4枚でよいのです。 たくさん集めなくても、朝・昼・夕・夜と時刻を割り振るだけで、一日の話になります。
撮影の段取りが一切要りません。 場所も、人も、機材も押さえずに、押し入れのアルバム1冊から1本が形になります。
音が、思った以上に効きます。 藁がこすれる音、砂利を踏む靴音、弦の一音、消灯スイッチ。 映像だけのときと、音が付いたときとで、まるで別物になりました。
ここまでにかかった時間は、原稿を書くところから仕上がりまで、およそ半日です。 一度作れば、次からは登録したアセットを呼び出すだけなので、もっと早く済みます。
今回ご紹介した3本
それぞれ単体でもお使いいただけます。気になるものだけお選びください。 いずれも2026年9月30日(水)までのメルマガ読者様優待価格です。
※ 作例の写真はパブリックドメインのものです。
※ 映像・声・物音・音楽は、すべてAIが生成したものです。実在の出来事ではありません。
※ 仕上がりは、お使いの写真や指示の書き方によって変わります。
メルマガ読者様 優待価格
カメラでなんでもスキャン Pro 2
5,830円4,480円
2026年9月30日まで